【2017年末】現役不動産プレーヤーによる名古屋オフィス賃貸マーケット分析

私の本業は不動産サービスだったことを思い出しました。今回は現在絶好調とされている名古屋のオフィス賃貸マーケットについての分析・所見をお届けしていきます。

全国主要都市の賃貸マーケットは概ね非常に好調でして、我が街名古屋においても同様です。オフィス賃貸マーケットは完全な売り手市場。空室もかなり消化していっています。

オフィスをこれから借りる人、貸す人いろいろだと思いますが、名古屋に事務所を借りたい・貸したいという方に多少なりとも参考にしていただければ幸いです。

データは三鬼商事さんが公開しているものを参照しています。
2017〆としているのにデータが2017年11月が最新なのは、三鬼商事さんの公開データがまだ準備されてないからです。ご了承ください。

名古屋の不動産マーケット

名古屋市内のビジネスエリアとしてはメインはこちらのエリアです。

大まかに分類すると以下の4エリア

  • 名駅エリア
  • 伏見エリア
  • 丸の内エリア
  • 栄エリア

ビジネスエリア全体感と各エリアの分析を行っていきましょう。

ビジネスエリア全体

名古屋のビジネスエリア全体のオフィス賃貸マーケットは一言でいうと好調そのものです。名駅エリアは元来ネームバリューがあり、人気のエリアでしたが、2015年に大名古屋ビルヂングの建て替え、JRゲートタワー、JPタワーという超大型物件が相次いで竣工したことで、その傾向はさらに加速しました。

既存のミッドランドスクエア、JRセントラルタワーを含んで、この5棟がおそらく名古屋市内のトップの物件。そこに2005年~2010年ごろに竣工した、クロスコートタワー、プライムセントラルビル、ルーセントタワーと高グレード物件がひしめき合っています。

現在の名古屋マーケットは「名駅エリアとそれ以外のエリア」と言ってしまっても過言ではないほどです。

空室率について

空室率グラフ

空室率グラフを見ると、2014年ごろは空室率においても名駅エリアが低く、それ以外のエリアとの差異がはっきりしています。当時は各エリアでバラつきがあったものが2017年11月現在では概ね4.5%~5.5%の間に収束しています。

これは名駅エリアに入りたいけど入れないと言ったお客さんがそれ以外のエリアにも検索範囲を広げ、どこかで妥協するという流れから、さらにビジネスエリア全体に好影響が波及していること。そして館内での拡張移転の動きが顕著であることが理由であると推測されます。

募集賃料について

募集賃料グラフ

一方で募集賃料グラフを見てみましょう。こちらを見るといかに名駅エリアが際立って強いかがわかります。

募集賃料がそれほど伸びていないように見えるのは、「募集」賃料での集計だからです。オフィス賃貸業者にとっては常識になっていますが、募集価格はあくまで誰でも目にできる数字で実際に契約する「成約賃料」はこれよりも安くなることがほとんど。

この差異は入居している方は契約時期により賃料にバラつきがあるので、例えば安く募集しているパンフレットなどを目にすると、減額交渉の材料にされてしまいかねないということに配慮してということだとされています。

各エリア分析

名駅エリア

一番人気エリアであり、空室も5%台と枯渇気味です。2017年に笹島にグローバルゲートが竣工し、空室が追加された為5%を超えてきていますが、すでにほぼ満室になることが確定していますしたがってまもなく5%を割り込むことになるでしょう。

2015年に10万坪を超える供給があったことを考えると、現在の数値は奇跡的です。1名古屋エリア全体で100万坪弱しか貸床面積が無いことを考えると、いかに大規模の供給だったかは想像に難くないでしょう。

空室率5%というと、残っている物件は旧耐震であったり、立地や設備に難があるなど、なかなか紹介対象に入ってこない物件であったりするので、紹介できる物件がないという状況になっています。

名古屋市内では唯一、各ビルオーナーが積極的に入居テナントの値上げに動いているエリアでもあります。

今後リニア関係での立ち退きがあり、さらにオフィス需要が増すものの、同エリア内はすでに空室が無く、また名古屋ビジネスエリア全体に目を移してもそれほど大きな空室がありません。新築ビルは名古屋三井ビル北館(2018年6月着工、2021年竣工?)と名鉄百貨店の再開発(2021年着工)くらいでまだまだ先。需要が先行している状況で引き続き好調を維持しそうです

伏見エリア

名駅エリアに次ぐビジネスの中心であり、錦1丁目あたりまでは名古屋駅から徒歩でも歩けなくなくは無いため、名駅エリアを賃料が高い、空室が無いという理由であきらめたテナントが次に探すエリアです。

こちらも空室率が4%台とすでに空室は枯渇しています。拡張移転のニーズは引き続きあるものの、もはや物件を紹介できないという状況になっています。

こちらも主な新築は錦二丁目計画(2018年2月竣工予定)となっています。近くのUFJ銀行がこちらに移転し、UFJ銀行を建て直してまた戻るとされています。

空室の枯渇に伴い、成約賃料の目線も上がっています。例えば、2014年当時であれば、築20年~30年程度のビルであれば@8,000円/坪~@9,000円/坪程度であったのが、およそ@1,000円/坪~@2,000円/坪程度上がっているイメージです。

丸の内エリア

古くからのビジネスエリアです。伏見とエリアとしてはそこまで差異は無いのですが、古い物件が多いことから苦戦していました。2014年当時は特に顕著でした。伏見エリアとそんなに賃料差異がなく、積極的に丸の内エリアに出てくるメリットがなかったためです。桜通り沿いは規模が大きめのビルが並んでいましたが、少し入ると築40年近い物件もゴロゴロとあります。

市役所や県庁、裁判所など官公庁が近くにあるため、個人の士業事務所が多く、20坪程度の小さな区画のニーズが強い傾向にあります。

しかし2016年末ごろから、他のエリアで空室が確保できなくくなってきたこともあり、テナントの流入が始まります。2017年11月現在では4%半ばまで空室率を改善しており、名古屋のビジネスエリアでは最も埋め戻したエリアとなりました。

2014年ごろ、@6,000円/坪や@7,000円/坪で入居したテナントがゴロゴロいますので、既存のテナント各社には多少賃料値上げの波が来ることが予想されます。

栄エリア

名駅エリアと二分する商業の街で、三越、松坂屋、丸栄(2018年6月末に閉店を発表)などの百貨店が軒を並べます。

再開発の噂は何度も上がっているのですが、おそらくいろんな思惑が渦を巻きすぎて何も決まらないという状況が続いているのだと思います。

オフィスとしては、伏見エリアの延長というイメージで、栄駅の近くは賃料やグレードにもそんなに差異はありません。しかし飲食店やアパレル店舗が近くにあることを敬遠する向きは多少あります。

さいごに

このように名古屋のオフィスマーケットはすでに飽和状態となっています。移転したいというニーズがあっても紹介できる物件がありませんので、特に不動産仲介業者は来年、再来年の数字づくりに戦々恐々としているのではないでしょうか。

少なくとも東京-名古屋間のリニア開通(2027年予定)までは、マイナス要因もなく、しばらくは好調を維持するでしょう。

賃料が高騰し、さらにそもそも借りれる空室が無いという状況になりつつありますので借り手側としても非常に厳しいですね。特に小規模で始めるベンチャー系企業には固定費がキツくなってきますので、レンタルオフィスを活用することも視野に入れていく必要があります。

15坪程度の貸室は、意外と回転が早いので倉庫レンタルなどを活用することで必要面積を減らして、選択できる面積の幅を増やすことも検討していってはいかがでしょうか。


こちらは倉庫からの出し入れをクロネコヤマトが行ってくれるので事務所と離れていても管理が楽ですね。


引っ越しは絶対にネット申し込みがお得です。複数社一括系のサイトで見積もりを一斉に取り寄せましょう。



以上、名古屋のオフィス賃貸マーケット情報でした。かなりニッチな情報でしたが、今後も定期的にお伝えしていただければなと思います。

参考:グラフの元データ

 

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