この記事の内容
このままでは給料は上がらない
ボケがは余計だけど、クオリティ高いものを安く提供しようと思ったら、いろんなところで企業努力はしても、やっぱり人件費削るしかない
そんなことしてたらそりゃ給料も上がらないし、会社としてもジリ貧になりますよね
モスはクオリティに比べて割安じゃねという話
いいものには適正な対価を— まとん@仮面ブロガー (@mstokwsky) January 8, 2018
1月に入っての僕のツイートでインプレッションが10万近かったのがこちら。もちろん堀江さんのツイートに絡んだからですけど。それはいったん置いておいて、僕にとってはこの数字は結構すごくて、この辺の話、やっぱり気になってる方が多いんだなと。
いいものを安く提供することが日本のいいところでしたが、一方でそれが働いても働いても給料が安いままという現状の一因となっています。給料が上がらないばかりかブラック化の温床にすらなっているこの問題。
サービスに対する適正価格について再考する声も大きくなってきました。これもブラック化から脱するという意味では大きな枠の中で、働き方改革の一環です。
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日本はデフレ大国
堀江さんのTweetに見る給料が安いことの本質
先進国に海外旅行に行ったことのある方ならわかると思いますが、日本の食べ物って、クオリティのわりにメチャクチャ安いと思いませんか?あれどうやって支えられているかっていうと、誤解を恐れずにいうとメチャクチャに人件費を抑えている。材料費とかって削減しても限界がありますし、たかが知れています。
某牛丼チェーンのワンオペ問題だけではなく、衣料品にしても工業製品にしても、人件費の安いところで大量に作ることでコストを抑え、クオリティは徹底したマニュアル化で担保していました。
そうやって、いいものを安く提供してきたのですが、いろんなところで無理が生じてきています。
冒頭の堀江さんのtweetですが、
モスバーガー安すぎる
→一般人には高いよ。
→そんなだから給料上がらないんだ
…という絡みでした。今見ても「ボケが」は余計だと思いますが、本質をついてますよね。
・モスバーガーのクオリティを考えたら、あの金額はすごく安いよね。
・じゃあどうやって安くしてるのか。
・味を担保するのに原材料費はそんなに削れないだろうから、利益削ってんだろうな。
・利益削るってことは人件費払えないよな。
・てことは給料安くするってこと。
・あのクオリティに対してモスの金額は適正価格より安いって言ってんのに、まだモスは高いだって?
・そんなんじゃあモスの人の給料はいつまでも上がんないよ。
→そんな風にしか考えられないからお前の給料は安いんだよ!
四角の中をすっ飛ばすから炎上するんだろうな…
まぁそれはさておき、こうやって高クオリティを低価格で提供していくと、必ず無理が生じるし、給料なんて一生上がらない。
どうすれば給料が上がってみんな幸せになれるのか
価格競争だけではみんな不幸になる
上述の通りですが、価格を安くするには最後は利益を削るしかありません。
利益を削るともちろん給料に回す余力を削るんで、従業員の手元に入ってくる分が増えるわけありません。必死になって金額抑えて取ってきた仕事が、自分たちを苦しめて、給料も上がらない仕組みを作っていくんですね。
どんなに忙しくても給料も上がらない、休みも増えないでは、質の高い仕事を維持するモチベーションが上がるわけもなく、仕事のクオリティをさげていきます。
安かろう、悪かろうというサービスが出来上がりです。金額以外の魅力が無いので、より安いところが現れるとすぐに顧客を失っていくデススパイラルの完成。
安い賃金しか払えないので、技術力のある人は、「やってられるか」と離れていきますしね。
うちの本業は不動産サービスですが、安い会社に合わせて一時期は価格競争に突っ込み疲弊
3年くらい前から値段でしか見てくれない先を解約し、適正価格への値上げ交渉していったところ、結構な先が応じてくれました
やはり自分の会社や仕事の質をきちんと対価で評価してくれる先との仕事が幸せ https://t.co/0UjLhuRfTE
— まとん@仮面ブロガー (@mstokwsky) January 6, 2018
ウチの会社も数年前まで、とにかく仕事を取ろうと躍起になっていました。クオリティを保ちつつ、他社との価格競争に勝つ。そのため、薄利多売に傾いていきました。一人の業務量が過剰になり、僕も夜中の0時超えてから本気出すみたいな変な力がみなぎっていました。
まぁでも長続きせず、ついに英断を下しました。金額だけで選んでもらってた先をこちらから断りまくった上、あろうことか値上げ交渉まで始めました。
当時は相当クレイジーだなと思いました。結果、30%もの顧客を失いましたが、残ってくれたところとは本当に良好な関係を築けています。無駄に疲弊していた人材リソースを残ってくれた顧客へ注ぐことができ、より評価を高めることができました。新規事業立ち上げにも人を投入できるようになりました。
これはもちろん、質の高いサービスありきです。価格ではないところで差異を付けて、積極的に選んでもらえる理由を作っていかないといけません。
価格以外で差をつける
最近少しずつですが、多少高くてもいいものをという風潮が広まりつつあるように感じます。例えば高速バスを運行しているウィーラートラベルは格安バスのほかにエグゼクティブシートも準備していて人気を博しています。
東京~大阪間で比較すると、格安バスが5,000円もあれば見つけられるのに対し、エグゼクティブシートは最安値でも12,000円程度からと、価格だけでなら新幹線のぞみに肉薄しています。
それでも高級シートでゆっくり体を休めていけるという付加価値にお金を払ってもらえています。
対価もなくモノが手に入るなんてあり得ないですよね。
クリエイター系の仕事は特になんか原価なんてかかってないんだろと思われてるフシがありますね。ウチにもパースとか仕上がりイメージくらいタダで手配してなどとおふざけ遊ばされるお客様が割と頻繁におられます。
— まとん@仮面ブロガー (@mstokwsky) January 19, 2018
このように、特にクリエイター系の仕事はクライアント側に対価に対する意識が低く、苦労されているケースがまだまだありますが、流れは変わってきています。
この取材から約一年。柿次郎さんが言ってたこの流れはより加速してる。2018年も引き続き単価あげていこう!!!!
“今まで100万円で20本の記事をつくっていたメディアは、100万円で10本に絞って、倍の予算でちゃんとしたもの、よりつくり込んだものをつくっていく時代になる”https://t.co/2wAoEAnjj6
— くいしん (@Quishin) January 6, 2018
この流れ、ウチでもとっても納得感あります。安く受けたらクオリティあげられないし、本数受けたら疲弊する。クライアントにも自分たちにも無理のない価格に上げて行ってます。高いよりも安い方が悪いこともある。 https://t.co/A3jmjFecyE
— 堀口英剛 #PRESSo 発売中! (@infoNumber333) January 6, 2018
仕事を受ける金額が安いと、たくさん捌いていかないと生活できない。そうなると1つの仕事に充てられる時間が減るのでもろにクオリティに跳ね返ってきますよね。
本来、一番コストをかけないといけない部分なはず。でも納品するもので差異が出しやすいので、これからどんどん淘汰が進んでいきそう。
適正価格を支払う 適正価格で仕事を受ける
要は質の高い仕事には適正価格を支払う。
→そうすることで無理な人件費削減をせずに済むので、従業員にコストをかけられる。
→給料のいい企業にはいい人材が集まりやすくなりますし、教育にも力をかけられる。
→クオリティも上がって仕事に還元できる。
という良いスパイラルに入ることができます。言葉にするのは簡単ですが、まぁそれが難しいという話ですがね。
とはいえ、適正価格を支払うことはその一瞬だけみれば損をしているかもしれませんが、まわりまわって、自分たちも同じことをされることになりますから、どこかで食い止めなければなりません。
そのスパイラルを始めることが、結果的に自分の業界全体を押し上げて給料もあげることになるはずです。
モノやサービスの値段(物価)があがるか給料が上がるかはタマゴかニワトリかみたいな話ですが、デフレ脱却には働き方改革と物価を上げることは両輪です。
さいごに
結局だれかが覚悟を持って始めないといけないことです。が、ちょっと話がでかすぎるなと感じるかもしれません。僕も結局自分の会社がやっただけで自分が何をしたというわけではありません。ただこういうやり方も今は受け入れられる素地ができてきたんだと実感しています。不動産サービスは自分たちが商品でもあるので、「選ばれるだけのクオリティの仕事はしよう」とは意識しています。
今年のバイブルにすると決めた「今日もていねいに」の著者である松浦弥太郎さんが、以前BRUTASの紙面で「お金の喜ぶ使い方をする」と書かれていました。自分たちのサービスもお金のよろこぶ使い道であることから、まずは始めてみます。
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