子供が産まれて1年数か月。今は名古屋に住んでいまして、通勤時間も30分そこそこ。
18時に退社して18時半には家にいるという恵まれた?環境で生活しています。おかげでムスメとの時間もそれなりに確保でき、世の一般的なサラリーマンの方々よりは自分の時間を持てていると感じています。
しかし近々東京への転勤が現実味を帯び始めて、通勤ラッシュやそもそもの通勤時間が延びることで、この生活ともオサラバかと思っていました。
ところが「働き方改革」の一環としてフレックスタイムの導入が決まり、早く出社して早く帰ることもできるようになりました。ただ、恩恵にもあずかれるのですが、イマイチよくわかっていないことがあります。
「働き方改革」って結局なんなの?
テレビを見ると、よく目にする「働き方改革」という言葉。しかしインタビューで耳にするのは「残業が出来なくなった」とか「その分早く来ないと行けなくなった」とか言ったコメント。
これって本末転倒ですが、そもそも何を目指していたものだったのかという根本がずれているのではないでしょうか。
僕も管理職の端くれで、そろそろ意識しないといけなくなってきましたので、この機会に勉強しなおしてみました。
いや、全然違うよという箇所があればバンバンご指摘下さい!
この記事の内容
「働き方改革」とは何なのか
一口に働き方改革といっても、結局なにを指しているのかわからなくないですか?
結論から言うと、「今までの日本人の働き方は非効率だから、もっと生産性あげて行こうぜ!」ってことです。
残業する人が偉くて、定時に仕事終わらせて帰ってる人。今までは前者が評価されて、定時に上がってる人が白い目で見られていました。
おかしいですよね?
計画的に仕事を時間内で終わらせて、残業代ももらわない人が評価されるなんて。
働き方改革が本当に進めば、そんな変な慣習も是正され、キチンと仕事をしている人が評価されるようになるはずです。
「働き方改革」は安倍政権の肝いり政策
2016年に安倍首相の私的諮問機関として「働き方改革実現会議」を設置するなど、そもそもは肝いり政策として始まりました。
2016年1月の方針演説の内容をまとめると
- 1億総活躍への挑戦
- 最重要な課題は、多様な働き方が可能な社会への変革とワークライフバランスの確保(フレックスタイム拡充、有給休暇の取得)
- 成果主義で評価
といったものがあげられます。
そもそもは人口減少対策でもある「働き方改革」
- 人口が減る→稼ぐ人数が減る→税収が減る→このままでは国力が弱まる
- 減った分を補おう→効率よく仕事して人数減っても同じかそれ以上に稼ごう
- 足りない人数は眠ってる人数を掘り起こそう。
…というのがそもそもの根っこのところです。日本は先進国の中でも類を見ないほどの超高齢化社会が到来します。これはもう避けられない未来であり、働き手がどんどん減ってきます。
働き手が減ると単純に物を作ったり、売りに行く人が減るんですから、企業の稼ぐ力がどんどん衰退していきます。
そうなると税収が減っていきますから、日本としてもいままでの国民へのサービスを保てなくなります。
残った人が減った分まで働くんだという方針で、今まで通りのはたき方で儲けようとすると、一人への負担が増大していきます。ブラック化が進み、過労死・自殺が増えてしまうとどうしようもない。
ということでやり方・考え方から変えないといけない。
「働き方改革」が目指すものは何?
業務効率の向上
いまと同等の稼ぎを、減った人数で作り出さなければならない。ではどうしようか。
一人の単純な仕事量を増やすやり方では限界であることが露呈した。では効率をよくしようというのがまず一つ。
10人で10ずつの仕事量で100の成果を出していたのを、5人になったから一人20働いて100の成果を出そうとすると当然パンクしますよね。
なので5人で10ずつの仕事量だけど100の成果を出すことにチャレンジしようぜと言うのが働き方改革の根本にある考え方です。
日本の課題はその生産性の低さです。
日本の時間当たり労働生産性は46.0ドルで、OECD加盟35ヵ国中20位。
OECDデータに基づく2016年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、46.0ドル(4,694円/購買力平価(PPP)換算)。米国の3分の2の水準にあたり、順位はOECD加盟35カ国中20位だった。名目ベースでみると、前年度から1.2%上昇したものの、順位に変動はなかった。主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。
生産性が最下位なのにGDPで上位ということは、ひたすら働きまくって効率の悪さを仕事量で補ってきたということです。
これ経済成長真っ只中の1970年代ならまだしも、いまだにそうだというのは驚きませんか?
そういった現状を打破しないと、労働力が減っていく日本に未来はありません。
なので単純作業や事務作業をAI導入ややバックオフィス機能の統一・見直し、また後述する女性戦力の導入で補い、本業である「稼ぐ」の部分に戦力を集中投下していく仕組みを作っていくのが狙いです。
ワークライフバランスと一億総活躍社会
効率よく働くには旧来のように会社に出社してきて同じ事務所で並んで仕事するのって意味ない業種も職種もあるよね。働く場所も時間も見直さないか?というのが「ワークライフバランス」の見直しです。
フレックス制の拡充やテレワークの導入。満員電車で消耗する時間と体力もムダですし、その分を家族との時間や自分の時間に割くことで、労働意欲へと還元できることも期待されます。
また「労働人口が減るので、働き方を門戸を広げて人材の掘り起こしをしないといけません。時間と場所に縛られて、満足に働けなかった戦力の掘り起こし、みんなが活躍できる社会が「一億総活躍社会」です。
よく言われるのが女性戦力の確保。男女平等とは言いつつ、やはり出産や子育てなど、なにかと時間や場所に制約を受ける女性を、その制約から解放して戦力として取り込んでいけます。
成果主義の奨励
以上のように見直してきても、結局評価が旧態然とした仕事量に対するものであっては本末転倒です。
会社員が稼ごうと思うと、たくさん働いて、残業しないと目に留まらず評価もされない。定時に帰るなんてまだ余力があるな、けしからんという謎の勢力がまだまだ残存します。
それでは最大の狙いである効率の改善なんて達成できませんし、日本は生産性ランキングで下位のままです。過労死はとどまるところを知りません。
したがって、仕事量ではなく、実際に出した成果によってきちんと評価しようねと言うのが狙いです。
関連記事>>【デフレ脱却はいつ?】だからお前の給料は安いんだよ! サービスと適正価格について
[post id=”1179″]
さいごに
その他、同一労働同一賃金や、時間外労働の賃金割り増しなどもありますが、働き方改革の本筋になるのはこの部分だと思います。
目に見える形で成果を求めがちですので、単純に残業時間を減らすんだと言われ、汲々としているようなコメントも散見されます。
しかし本来は企業が働く人たちと向き合い、きちんと仕組みを整えたうえでのことなので、そこができていない、もしくは十分に狙いを説明できていないと、そこに軋轢が生まれてしまいます。
ワークライフバランスという観点からすると、それこそ本末転倒。
AI導入、女性戦力の有効活用など「働き方改革」の目に見える部分にとらわれず、根っこの部分をもう一度見直して、できることをやっていきたいものです。
個人的にはフレックス導入と、働く場所も自宅近くでテレワークに近い形が承認されそうなので万々歳ですが、部下の勤怠管理や評価などどうしようかと今から課題が山積みです。誰もやったことないからこそのやりがいなんですが…